こんにちは。今回のポミギャの読書感想文は、栄光加藤隼戦闘隊です。
これは第二次世界大戦時に活躍した日本陸軍の戦闘機隊のお話です。
どのようなお話かというと、ポンコツの戦闘機を、日本人のエリート戦闘機部隊が一流の技術でカバーしながら操縦して戦うというお話です。
当時の日本は列強に追いつけ追い越せの状態だったので、正直なところ、当時の日本の戦闘機の水準は、というか興行水準はアメリカやイギリス、ドイツに比べると1段も2段も下の技術なんですよね。
日本が1000馬力のエンジンでどうにか戦闘機を運用しようとしているときに、アメリカはその倍の2000馬力のエンジンを搭載した戦闘機を問題なくロールアウトしたりしているんですよね
日本は自分達よりも優れたアメリカの戦闘機にどうにか互角に渡り合うために足りてない、工業水準をどうにかカバーするためにですね防御面や安全面を犠牲にすることで、足りてない技術の差をどうにか埋めて戦闘機を作ったんですね。
こうして当時の日本陸軍航空隊に一式戦闘機、隼という名の戦闘機が誕生するんですね。そしてこの戦闘機が加藤隼戦闘隊という部隊に配備されるんですね。
ところでですね、この隼、先程も言いましたように、欧米の戦闘機と互角に渡り合うためにですね、防御面や安全面を犠牲にした機体なんですよね。それらを犠牲にすることで機体を軽くしようとしたんですね。飛行機っていうのは軽くなればそれだけ高性能になりますからね。
防御面においてはパイロットを敵戦闘機の機銃から守るための防弾装備がほとんどないです、っていうかないです。この本の著者もパイロット時代に敵の攻撃を強かに食らったことがあるんですが、ほとんどコクピットを貫いてるんですね、で、自分にはたまたま弾が当たらなかった。すごい悪運ですね。
安全面の方もですね、極めて深刻なものがあるんですね。飛行中に急降下をしている時にですね、さあそろそろ飛行機を水平に戻さないと地面に激突するなって時に、
機体の引き上げ操作をすると飛行機の胴体から翼がもげて、取れちゃうんですよね。で、バラバラに空中分解した後、地面とキスして、パイロットは地獄のそこまで急降下すると。これは大した安全基準ですね。
他にもポンコツなところはたくさんありますよ、ドンドンいきましょう。
ここまで防御面と安全面を犠牲にしてまで、軽量化を徹底したのに、エンジン出力が欧米に比べてやはり低いので、1/2です、結局遅いんですね。敵を追いかけたくても追いつけない。
戦闘機よりは大きいため遅いというイメージがありそうな爆撃機にさえ追いつくことが難しいんですよね。敵さんの爆撃機は大きくて重いっつったって日本の2倍以上の出力を誇る工業水準を持つわけですからね。
後ですね、武装面にも不安は残ります。戦闘機、戦う飛行機なので当然機銃を装備しているんですが、この時代の戦闘機は標準でも四挺とか六梃、多くて八梃の機銃を戦闘機は装備していたんですが、この隼はなんと2丁なんですね。正直少ないです。
しかもこの弱武装をなんとかするためにより強力な弾丸を発射できるようにしたんです。なるほど2丁と少なくても弾丸そのものの威力を高めれば、カバーできるじゃんと思ったんでしょうね。
でもこの威力を高めた機関銃がですね、肝心なときに、故障か何かで発射されないんですよ。
だからパイロットはたとえ威力が高い方の弾丸がトラブルで発射されなくても攻撃できるように2つしかない機銃の片方を元の威力が低い方の機関銃にしてたんですよね。これ逆に威力低下してね?
相手の飛行機はエンジンの出力が高いだけでなく、防弾装備などもしっかりしてるんですね。だからこの低い攻撃力では落とせない、というか、遅くてそもそも追いつけない。
戦闘機パイロットの仕事って、そもそもめちゃくちゃ大変なんですよね。戦う飛行機のパイロットをするわけですからね。
敵の飛行機を撃ち落とそうとする時って、全力疾走で走りながら針の穴に糸を通すっていうくらい難しいものなんですよ。目と脳がめちゃくちゃ疲れるんですよね。
そもそもの仕事がめちゃくちゃ大変なのに、紙切れのような装甲、無理させたらバラバラになる、遅い、弾出ない。
超一級のポンコツ性能を誇る本機を我らが日本陸軍航空隊、中でも加藤隼戦闘隊というエリート部隊の鍛え抜かれたパイロット達が高度な技術を持ってどうにか実用的に使い回していこうとするんですね。
敵の爆撃機を攻撃する時、やっぱり攻撃力が低くて、撃ち落とせないんですよね、で、打ちまくってたら弾がなくなるんですけど、でも弾が切れたことは相手にはわからないだろうってことで、さも弾ならまだたくさんあるぞとハッタリをかまして、敵の爆撃機に無理な飛行をさせて墜落されたりとか、
ただでさえ、敵の戦闘機に命中させるのも難しいのに、コクピットを、ガラスでできているので防弾が施されていないであろう、パイロットが座っているコクピットを素晴らしい射撃技術で射抜いたりとか
また自分の後ろに近づいてきている敵をそのまま気づいていないふりをして、お引き寄せ、充分引きつけたら反転して、返り討ちにしたりとか
パイロットたちのその優れた技術によって隼は恐るべき戦闘マシンになるわけですね。
ここまでこの隼という戦闘機をポンコツ、ポンコツと言いまくって、この機体のことが私は嫌いなのではないかと思われたのではないかと思いますが、その反対で、ですね。私はこの機体が大好きなんですね。
日本人によって設計、開発され、生産され、そして日本人によって操縦され、共に戦った戦闘機。
当時のアジアで自国で設計、開発、生産なんてことができたのは日本だけなんですよね。他の国では外国製のものを運用していたんですよね。
ショボい性能の機体を少しでも高性能にするため、今やったら絶対に問題になるような人命軽視の軽量化もどこか厨二病をくすぐるんですよね、危険な性格ですね、私。
機関銃が四挺から八梃が当たり前だった時代に二丁しかないのも、なんだかミニマリズムな感じがしていいんですよね、性能とは全く関係ないですが。
ということで今回は「栄光!加藤隼戦闘隊」でした。私のオタク話でした。ご清聴ありがとうございます。